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なんだかわからんフユシャク

これは茨城県で実際に起きたある出来事をドキュメンタリータッチでお送りする物語である。

ドキュメンタリーとは言ったものの意味なんだろうと思って広辞苑したところ
実際の出来事に虚構を加えずに構成された文、映像などとなっており

そら無理だ。
フィクション昆虫作家の私がある日突然ノンフィクションなんて無理


そんな訳でこれはある日茨城県で起きたある出来事のドキュメンタリーのフィクションである。




ある日博物館の先生が飯食いながら言うのです。

フユシャクのメス見てみたいなー、えへっ。って。


っで、そんなのお安い御用じゃん。俺、あんたに見せてやんよ!って。



その結果迎えたのがフユシャクメス探し合同調査。


昆虫界のザ・ガチャピンと呼ばれるこの私。

異常なほどの採集能力の高さを過信して、なんとかなるっぺ。っと。

若干茨城訛りで軽く考えておりました。


何と言ってもトチコンで数々の採集を叩きこまれているわけですから。

フユシャクなんて楽勝ミッションです。

っで、トチコンに叩き込まれた遠い記憶を呼び覚ましました。

俺、フユシャクのメス見つけた事ねーや。


気がついた瞬間にミッション丸投げです。

茨城蛾類部隊の精鋭達にフユシャク採集付き合ってよとお願いし。

人海戦術を取ることに。


まずは筑波山で夜の蛾を捕まえてばかりで夜の蝶に見向きもしない蛾屋。

次に土浦の溜池に必死で水を貯め込む蛾屋。


声を掛けて更にセーフティーネットを張り巡らせる


フユシャクのメスを見つけられなかった時に備え


ツクバクロオサムシの崖掘り採集してみましょうかと。


ツクバクロオサムシが採れれば

これツクバの特産種なんですよー。とか合ってるんだか合ってないんだかよくわからない。
そんな押しの一手で今日は大成功でしたねと言いきれる。

エサキとツクバの見分け方を鼻高々に講釈なんか垂れてみれば
もうすっかりフユシャクの事なんて忘れられます。


そんな訳で待ち合わせ場所に辿りつきますと。

博物館の先生と溜池の蛾屋さん。

そして博物館のジュニア学芸員を務めていらっしゃる青年の3人が既に待機。


まずは合流して4人で崖探し。

サクサクと軽くレクチャーをして


なんだかわからんフユシャク_c0200575_2281298.jpg



あっさり博物館の先生がツクバクロを掘りだし。


これでまずは今日のテーマにしたフユシャクメスとツクバクロの内、50%の任務達成。


これによってフユシャクが採れなくても惨敗は逃れられる。
私は本当に頭が良くて策士だ。



場所移動して小田山の林道で再度オサムシ掘り

最初は真面目に掘ってたけどだんだん飽きてきて
他の自然観察したり写真撮ったり

博物館の先生とジュニア学芸員は真面目に調査


掘る崖も無くなって来てとりあえず山頂行ってみるかと


宝篋山制覇

っで、記念撮影


なんだかわからんフユシャク_c0200575_2284131.jpg



私ひとりではいつも通りグダグダ採集になりそうだったのですが
溜池蛾屋が参戦してくださったいおかげで比較的本格的採集になるという

都合のよい展開

それから移動してふれあいの里に到着



食事などの準備を終え、筑波山の蛾屋さんと合流し

総勢5名でフユシャクメス探し開始


ですが筑波山の蛾屋さんと溜池の蛾屋さんは灯火セットも張り出す始末


うっかり画像でも載せようものなら

茨城の蛾屋って真冬でも筑波山で灯火やってるらしいぜ
スキルたっけー

みたいな誤解が生じてしまいますので
紆余曲折を経て何が悲しいのか真冬に灯火を立てるに至った事情は割愛致します。


っで、糖蜜も仕掛けますが寒いので放置


ひたすら歩いてフユシャクのメス探し


てかフユシャクのメスなんてフチグロしか見た事ないし

でもこのミッションをクリアしないと将来のカバシタムクゲの採集に辿りつけません。


将来へのトレーニングを兼ねて必死で探しまわります。

図鑑で知ってる知識は食草がサクラ、コナラ、クヌギ


なのでその木を中心に見ます。

次にフユシャクのオスが地上から1-2mを飛ぶ事が多いので
その辺りに視線を置きます。


あとは今までの採集スキルで視点をフユシャクのメスにおいて必死


もう無理かな
諦めようかなと思った瞬間


なんだかわからんフユシャク_c0200575_2292891.jpg



オスが3匹ヒラヒラしてる地点に遭遇


ひょっとしてと思い、周囲を探すが何も見つからず

オスが飛んで行った方向を追いかけていきますと


後ろから声がします

なんとジュニア学芸員がメス発見


つか、フチグロと形全然違うじゃん

仕方がないのでジュニア学芸員が見つけたメスでもう一回視点をおきなおすと


おやおや、見えてくる見えてくる

なんだかわからんフユシャク_c0200575_2295730.jpg



立て続けに2匹ほどメス発見

見つけ方もわかったし


交尾中のフユシャクを見てみたい


要はメスが止まっている高さでオスが止まっていれば

羽の下にメスが隠れて交尾してる可能性あり


今まであっさりオスを遠目に見てスル―してきましたが

これからは近寄って観察も大事


という訳でその後の時間を必死に交尾探しに当てましたが発見できず

ジュニア学芸員も御帰宅のお時間ですので解散

蛾類部隊は報告会の相談とシャリバテ解消のためいきつけのラーメン屋へ


飯食って報告会の打ち合わせして
軽い情報交換して

どうも茨城には虫の団体が3つあるみたい
主要なのだけで

数人お知り合いのいる水戸昆虫研究会・・・るりぼし

トチコンのインセクトにも素晴らしい寄稿をしてくださる方が在籍するつくば昆虫談話会・・・おとしぶみ

そんでもって良く分からないのが茨城昆虫同好会・・・おけら


っで、他にも噂に聞いていてるけどどういう団体かわからないのが
茨城生物の会

さらに昔どこかに蝶の会ってのがあるって聞いた事あるし
玉造のクワガタ保存会もまだあるんだかないんだか

あぁ小美玉生物の会とかゆーのもあるって筑波山で夜中に会った人に聞いてるし

思えば茨城の虫だか茨城の昆虫だかゆーポケットブックを発刊したのが、
茨城虫の会とかゆー団体だったし

凄いな虫関係だけでもめちゃくちゃ乱立してるんだな

茨城の歴史とか人間関係がよくわかならいや


栃木だと愛好会の歴史の整理が結構進んでおりまして
貴重な設立当初の動き、県内他団体との合流、消長などが克明に記録されておりますので

すっきり整理整頓されておりまして

博物館も大学も愛好会も全て宇都宮に所在しておりますので
有機的な連携が取れる体制



まぁ他団体さんの事ですので私が口出しするような立場でもございませんし
こそこそ動こうにも茨城に人脈を持ち合わせていないので傍観するしかないのですが

団体さんはいくつあっても良いとは思うんです。

趣味の団体でみんなで楽しければそれでいいと思います


ただファウナをやっている立場で言わせてもらうと

そろそろ茨城の昆虫Ⅱみたいなのが欲しい



そろそろ連帯的な活動を始められないものかしら


誰か意欲を持って取り組んでくれる若い人いないだろうか

私トチコンの人間だから余計な行動はできないの
育ててくれたトチコンへの恩義があるからうかつに他県に移籍もできないの

ってゆーか、お金がないから他の団体の会費払う気ないの



栃木は70年掛けて県内各地の愛好団体が合流していって
現在のとちぎ昆虫愛好会に至ったわけで

茨城もいずれはそうなるのかも知れないし

時間が解決する問題なのかも知れないし

ならないのかも知れないし


それならそれで



古河昆虫の会を設立する

会長に治まる



こうすれば会費も払わずに茨城の虫事情に口出しできるではないか
乱立大歓迎じゃないか
吸収されないで独立独歩で頑張ってやる
他団体なんて知ったこっちゃないね



こんな事書いていて結構お怒りの関係者もいらっしゃるかと思いますが

まぁドキュメンタリーのフィクションですからね。
間に受けないで許してください


そもそも

私今悲しんでるんです。一昨日からずっと。

お会いしたかった方にもうお会いできない。
そーゆー時が来るのは僕たちが生物である定めではございますが

僕がやりたかった事を先にやりきってしまわれた方



僕がモタモタしてしまいお会いすることは叶いませんでしたが
小さい町でしたのでどこかの河川敷ですれちがっていたかも知れません。

僕ですら怒りを持って逃げ出したあの茨城の乱開発の真っただ中で
同じ失われていく空間を同じ時間に見つめて
真正面から記録を残され続けた方

たくさんのお疲れ様
たくさんのありがとう
本当のありがとう

今はごゆっくりお休みください
by JAPANFOREST | 2013-01-12 23:54 | 雑記


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