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失われた砂

今日は日中少しの時間で鬼怒川散策

砂河原の観察です。

夏の調査に向けて一番大切なのは冬の実地検分です。


ミツモンケンモンはとりあえず足がかりを得ましたので、いったん終了

フチグロはとりあえずどうでもいい。
探したい人は河川敷のヨモギとギシギシの群落を探してください。

クリーム色の堤防で赤茶けた群落になっているのですぐ見つかります。
枯れていますが、手でグシャグシャすればヨモギの香りがするのですぐ判ります。

オナモミはいません。


あとは運じゃなく、根性です。

1、2匹にして後はせいぜい観察にしてね。

ドイツ箱埋めたい気持ちが判らないよ。


いるだけ採りたいんなら、まず虫屋辞めて昆虫ショップでも開業したらどうだい?
お金に昆虫を売り渡したさもしい人よ。
そのお金でどれだけの自然が買えるのだろう。

あと博物館にうんたらかんたら呟きながらありったけ採ってる人も消え失せて。
自己抑制すらできない強欲の塊よ。
自己弁護に博物館だの調査だの言わないでよね。

気が狂って正気を失った虫屋たちよ。



っで、丸一日かけて鬼怒川の砂地を必死で歩きまわった理由ですね。


転載していいのかどうか判りませんが、栃木のレッドデータから。


栃木県絶滅危惧Ⅰ類
環境省絶滅危惧Ⅰ類
選定理由:生息環境の限定により個体数が極小。生息環境が悪化し、栃木で絶滅に瀕している。
形態と生態:オスは開長37mm、メスは飛翔能力を欠く。
成虫は早春に昼行性の性質を持ち、幼虫の食草は不明。
生息環境:水田と畑地の境界の畔、河川堤防、海岸付近の草地。
分布状況:秋田、新潟および日本海側各県と栃木群馬埼玉東京。
栃木では鶴田沼(1965)、柳田(1987)で発見、その後の度重なる調査で確認できず。
生存への脅威:河川堤防管理の変化、畦などの農薬散布、土手の舗装化

落合和泉先生の選定です。
カバシタムクゲエダシャク。

栃木のRDBは全部見つけ出したいと思っておりまして。

Aランクならいつか見つかるだろと思っていたのですが。

全国的にどうやら貴種のようで。
生態から何から全然わかってない。

っで、これ何故か栃木で絶滅種になっていない。
マエアカヒトリ、カバフキシタバ、タケウチエダシャクは絶滅種。

でもカバシタは絶滅危惧。


うーん。

矢島先生は幻の蛾とか形容していたのですが。

落合先生はまだ現実の蛾として捉えているのでしょうか。


っで、栃木の環境に強い私ですから。
柳田と鶴田の共通点探しです。


現在の両地点を見ても何の役にも立ちません。

そこで先日宮本先生に質問しまくった訳です。

っで、出てきた答えが

柳田:砂地
鶴田:沼地

もうこれでもかってくらいに背反する環境ですね。

んで、ヒントが海岸付近の草地


これ砂地ですよね。きっと。

知ってる情報だけで考えると砂地の可能性が高いわけでして。
じゃぁ鶴田沼どうすんの?っておもいきや。

実は鶴田沼の西だか東だかどっちか忘れちゃったんですけど。

すぐ近くを姿川だったか、田川だったかが流れてまして。

どっちかも忘れちゃったんですけど。

砂礫の河川です。


っで、この砂礫河原なんですが。

栃木では激減。
カワラハンミョウも絶滅。

カワラバッタも激減。


カバシタムクゲエダシャクは絶滅危惧。
なんだか共通点が見えてきたような。

砂地の消失とともに消えゆく昆虫達の一つだったのではないかしら。
砂のおうちが無くなっちゃったんだもん。


だって河川改修して流れを良くしちゃったんだもん。

んじゃ、砂はどこ行くの?ってなると下流へ。

鬼怒川の下流はどこ?って言ったらそれは茨城。


そんな仮説を追い求めて筑西あたりの鬼怒川を上下に行ったり来たり。

ついでに近隣の図書館に駆け込んで昭和時代の風景写真を探しまわります。


思った通りでビンゴ。

茨城県西の主要都市は基本的に利根川と鬼怒川ぞいに栄えてまして。
さまざまな写真が出て参ります。

一枚一枚古い白黒写真から当時の環境を見出していきます。

っで現在との大きな違い。


松。


何故か昭和の時代はあちこち松だらけなんですね。

燃料としての松の利用価値があったとはいえ、
点在してる写真ばかりなんですよね。


利用価値を求めるなら松林になってもいいと思うんですけど。


んで、今、松と言えば砂防林

鬼怒川河畔は砂河原が広がってたんじゃないのかと。

食草が松で、マツクイムシ防除の農薬で死滅したとか。


まぁ松から砂防林に繋がったのは私の連想ゲームですけど。


どのみち、鬼怒川沿いの写真集に砂河原で遊ぶ学生の写真とですね。
遊んだ砂河原はなくなったとのコメントが載っていますから。



カバシタ行方不明事件のトリックは見破ったかも知れません。
てゆうか、鬼怒川沿いの地名見てればすぐ判ることなんですけどね。

砂沼とか砂河原とか。

おいおい、君たち明らかに砂だろって感じの。
カバシタ君、お前、砂、好きだろ?って感じの。


それにしても大規模に昭和の時代から消失したのは間違いありませんし、
柳田、鶴田に共通していたのも間違いありませんが。


問題になるのが東京のメスの記録。

これ砂地にまるっきり関係ない雑木林での発見。
しかも産卵してたのがモンゴリナラ。

砂地でモンゴリナラなんて見た事ないよと思いまして。

本日本当に砂地にモンゴリナラが生えないのか確認しに行ったのです。

結果、生えてませんでした。

モンゴリナラを別種と見間違えたとしたらなんて考えたら矢島先生に失礼だし。



でも柳田には昔からモンゴリナラがあったような気がするって宮本先生も言ってたし。

何かもう一個トリックがある気がするんだよね。


やっぱり♂♀別種だったりして。

そうすればカバシタ=砂地仮説が一気に有力になるんだけどなぁ。


そうするとメスの相手は誰だよって難問が生まれてきちゃってまた困った事に。



まぁ産卵していた樹木が食草とは限りませんし。
マイマイガは私の車内であちこちに産卵しますし。



そういえば鬼怒川に砂地は小規模ながら健在でした。

ようは中州ですね。


長靴履いてジャブジャブ川を渡って中州見学


これも水量が少ない冬ならではの見学ですね。


つか中州じゃ増水時に沈下しちゃうじゃん。


この辺が何かカバシタムクゲエダシャクに繋がるトリックのような気がしてならない。


てゆうか、全然無関係の環境追い求めてる気もして怖い。


その時はカワラハンミョウでも見つけて遊ぶか。


失われた砂_c0200575_20123653.jpg

by JAPANFOREST | 2012-02-12 20:16 | 雑記


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